これから起こりうる核の脅威や自然災害から守る為に

コラム

核シェルターの値段は?家庭用の種類と価格目安を紹介

日本では民間における核シェルターのニーズが高まっています。

海外製核シェルター輸入会社、ハウスメーカー、土木・建築工事会社、リフォーム工事会社、防災機器メーカー、板金加工会社など様々な業種・業態のベンダが市場に参入。核シェルターの種類があっと言う間に多様化しています。

ここでは市場に投入されている家庭用核シェルター(民間核シェルター)の主な種類と、価格目安を解説します。

購入検討前に知っておきたい核シェルターの役割

太平洋戦争末期の米軍の無差別爆撃と広島・長崎の市街地への原子爆弾攻撃と異なり、21世紀の核弾頭ミサイル攻撃の標的は主に軍事施設。したがって市街地の住宅地域や商工業地域が攻撃を受け、爆心地になる可能性は極めて低いとされていました。しかしウクライナの状況をふまえ、この傾向が変わる可能性も十分に考えられます。

核弾頭ミサイル炸裂により放射される放射性物質は、爆心地から半径100~3000kmもの広範囲に拡散し、残留放射線物質となって大気を汚染し、この大気に触れた人の体内に放射性物質が蓄積されます。このうち、危険性が高い残留放射性物質の大半は7~10日で半減期となり、壊変(原子核が放射線を放出して危険性の低い別の原子核に変わる現象)すると言われています。

そこで現在製品化されている家庭用核シェルターの多くは、この7~10日の残留放射性物質との接触遮断を目的に開発・設計されています。これこそが家庭用核シェルターに求められる役割です。「この役割をどんな形で実現するのか」という各ベンダの考えの違いによって、シェルターの種類が多様化しました。

家庭用核シェルターの種類

従来の家庭用核シェルターは、基本的に「地中埋設型」と「地上設置型」の2種類でした。後に、この2種類が進化する形でバリエーションが広がり、現在は一般に次の種類が製品化されています。

関連ページ:製品紹介 核シェルター

地中埋設型核シェルター

家屋の地下、庭など戸建て住宅敷地の地中に円筒形や箱形のシェルターを埋設する最もポピュラーで本格的な家庭用核シェルターです。

具体的には鉛を混ぜたコンクリートで鋼鉄製シェルター本体を包み込んで地中に埋設し、さらにシェルター外部の天井部分に40cm以上のコンクリートを流し込んでシェルターの安全性を補強。さらにその上に60cm以上の土を盛った構造になっています。

シェルター内はNBCフィルター装着空気清浄機を始め、2週間分の水・食料、炊事用カセットコンロ、バッテリー・室内発電機、ベッドルーム、リビングルーム、トイレットルーム、シャワールーム、LED照明などを標準装備しています。

また床面積は標準で約30平米ですが、避難人数やオプションのキッチンルーム、トレーニングルームなどの追加に合わせ、面積が増加します。

地上設置型核シェルター

戸建て住宅の庭上に設置する野晒し状態の核シェルターです。鉄筋コンクリート造ボックス型と鋼鉄製のカプセルホテル型があります。

鉄筋コンクリート造ボックス型

鉛を混ぜた鉄筋コンクリート造の箱形核シェルターです。NBCフィルター装着空気清浄機、2週間分の水・食料、炊事用カセットコンロ、ベッドルーム、リビングルーム、トイレットルーム、シャワールーム、LED照明などを標準装備しています。床面積は標準約30平米ですが、こちらも避難人数やオプションのキッチンルーム、トレーニングルームなど追加に合わせ、面積が増加します。

カプセルホテル型

鉄筋コンクリートで基礎を作り、その上に鋼鉄製のモジュールを組み立てるタイプが一般的です。シェルターの外部は風雨に晒されるので耐水性ペンキでコーティングしてあります。大型台風や土砂崩れに襲われても破損しない強度を備えています。NBCフィルター装着空気清浄機、ベッド、水・食料、LED照明など2週間の避難生活に必要な設備・器具・生活用品などが一式セットされているのが特徴です。またカプセルホテル型はモジュール仕様なので、避難人数や敷地面積に応じて床面積を自由に調節できるのも特徴です。

室内型核シェルター

戸建て住宅1階やマンションの一室に設置できる核シェルターです。

カプセルホテル型

戸建て住宅やマンションの一室に設置する鋼鉄製のシェルターです。NBCフィルター装着空気清浄機、ベッド、水・食料など2週間の避難生活に必要な設備・器具・生活用品などが一式セットされているのが特徴です。モジュール仕様なので、床面積は部屋の広さに合わせて調節できます。また核弾頭ミサイル炸裂の爆風や衝撃波で家屋が倒壊してもシェルター自体は損壊しない強度を備えています。

エアコン型

リフォームにより密閉性を高めた戸建て住宅やマンションの一室に、NBCフィルターを装備したエアコン仕様の空気清浄機を設置したシェルターです。大気中の残留放射性物質を除去し、安全で新鮮な大気のみを室内に供給します。また空気清浄機が室内を加圧するので、室内に出入りする際の汚染大気の侵入も防止できます。

テント型

有事の際に戸建て住宅やマンションの一室に設置しておいた特殊ビニール製のテントを組み立て、テント内にNBCフィルター装着の空気清浄機を取付け、水・食料、マットレス、毛布などを持ち込んでシェルター代わりにするタイプです。籠城状態で残留放射性物質から身を守るシェルターと言えそうです。テント自体に密閉性があり、NBCフィルター装着の空気清浄機で加圧されるので、部屋そのものをシェルター化するためのリフォーム不要がメリットと言えます。

核シェルターの値段

日本の場合、家庭用核シェルター(民間核シェルター)の販売実績がまだ少なく、「価格相場」が確立しにくい状況です。このため販売価格は主に、ベンダがそれぞれ「自社取扱い核シェルターの製造原価(または仕入れ価格)+営業費+設置工事費+利益」という積上げ方式で決める傾向にあります。

これは住宅のキッチン、浴室などのリフォーム工事費が「住宅設備仕入費+設備据付け工事費+工賃+営業費+利益」で決まるのと似ています。しかし住宅リフォーム工事の場合は住宅設備の仕入れ標準価格がすでに確立しており、設置工事も全国的にほぼ標準化されているので、価格相場を立てやすくなっています。

対して家庭用核シェルターの場合はこれらの「標準」が確立していません。加えてシェルターの部屋数・床面積、収容人数、設備とグレード、設置場所、立地などの変数要因が色々とあり、これが価格相場確率を困難にしています。

核シェルターの価格目安

家庭用核シェルターの価格には、種類別に次の一般的な目安があります。

  • 戸建て住宅の敷地に地中埋設型核シェルターを設置する場合……数千万円から数億円(収容人数、生活設備の数とグレード、部屋数などにより異なる)
  • 戸建て住宅の敷地地上に収容人数4人の鉄筋コンクリートボックス型核シェルターを設置する場合……設置工事費込みで2000万円から
  • 戸建て住宅の敷地地上に収容人数4人のカプセルホテル型核シェルターを設置する場合……設置工事費込みで1000万円から
  • 戸建て住宅やマンションの一室に収容人数4人のカプセルホテル型核シェルターを設置する場合……設置工事費込みで700万円から
  • 戸建て住宅やマンションの一室にエアコン型核シェルターを設置する場合……収容人数6人の部屋ː設置工事費込みで200万円前後、収容人数12人の部屋ː設置工事費込みで300万円前後
  • 戸建て住宅やマンションの一室に収容人数2人のテント型核シェルターを設置する場合……300万円前後

まとめ

上述の核シェルター設置価格が安いと見るか、高いと見るか。これはもちろん核シェルターに対するユーザーの価値観により異なるでしょう。

しかしロシアのウクライナ侵攻、隣国であるロシアと中国の核保有、北朝鮮の核兵器開発と弾道ミサイル発射実験頻発などの緊迫した国際情勢を見ると、日本でも核シェルターの必要性が高まっているのは確かです。いざという時に備え、家庭用核シェルターにはどんな種類があり、どんな性能があるのか、どの程度の価格で購入できるのかなどの情報は知っておくことをおすすめします。

なお「室内設置の核シェルターはネット通販で買える」と言われています。ですがネット通販が扱っているシェルターの大半は「防災シェルター」です。核シェルターの要件を満たしていないものも多いため、情報を収集する際は注意が必要です。

無料見積り・ご相談はこちらCONTACT