これから起こりうる核の脅威や自然災害から守る為に

コラム

家庭でできる防災対策のポイント

日本は地形・地質・気象上の特性から自然災害が発生しやすく、古くから様々な治山・治水対策が行われてきました。行政レベルの防災対策を確認することとあわせて、日頃から自分自身で身を守る家庭レベルでの防災準備をすすめることも極めて重要になっています。

ここでは一般家庭でできる防災対策のポイントを解説します。

日本の災害事情

日本では近年、従来の集中豪雨に加えて線状降水帯発生による豪雨が多発するなど、「雨が凶暴化している」と言われています。記憶に新しいところでも2018年の「平成30年7月豪雨」、2019年の「令和元年東日本台風」、2020年の「令和2年7月豪雨」と、3年連続の豪雨に見舞われています。『令和3年版 国土交通白書』によると、その被害状況は次の通りです。

平成30年7月豪雨の被害

  • 観測史上1位の   122カ所(72時間)
  • 降水量更新カ所   124カ所(48時間)

76カ所(24時間)

  • 死者・行方不明者数 271名
  • 建物全壊      6783棟
  • 建物半壊      1万1346棟
  • 被害額       1兆2150億円

令和元年東日本台風

  • 観測史上1位の   72カ所(48時間)
  • 降水量更新カ所   103カ所(24時間)

120カ所(12時間)

  • 死者・行方不明者数 108名
  • 建物全壊      3229棟
  • 建物半壊      2万8107棟
  • 被害額       1兆8800億円

令和2年7月豪雨

  • 観測史上1位の   40カ所(72時間)
  • 降水量更新カ所   40カ所(48時間)

30カ所(24時間)

  • 死者・行方不明者数 86名
  • 建物全壊      1620棟
  • 建物半壊      4509棟
  • 被害額       未集計

さらに日本では火山帯、活断層、プレート境界が多いので大規模地震も発生しやすく、現在は「南海トラフ地震」、「首都直下地震」、「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震」などの発生確率が高まっています。

このため家庭での防災対策がかつてなく重要になっています。家庭でできる防災対策は「日常的な防災対策」と「大規模自然災害発災時に備えた防災対策」に大別できます。

家庭でできる日常的な防災対策のポイント

家庭でできる日常的な防災対策は、基本的に次の事項がポイントになります。

家具の固定とガラスの飛散防止対策

洋服ダンス、食器棚、本棚、冷蔵庫、50インチ以上のテレビ、ピアノなど重量のある大型家具や家電製品は、震度7クラスの大地震が発災した際は転倒・滑りにより室内の床や壁を破壊する恐れがあります。このため「L字金具」等で壁や床に固定する必要があります。また窓ガラス、ガラス戸、食器棚のガラス扉、ガラス製テーブルなどは震度7クラス以下の地震でも壊れて室内に飛散するケースがあります。これらのガラスには「飛散防止フィルム」を貼り付け、地震の衝撃で割れないようにしておく必要があります。

就寝時の停電対策

停電した際の就寝時の対策も重要です。夜中に停電して手の届く範囲に灯がないと、手探りで宅内を移動しなければならず、危険な状況になるからです。このため懐中電灯、スリッパ、軍手などをまとめて保管したポーチを枕元に置いて就寝する必要があります。

非常持ち出し袋の常備

市町村が避難指示を発令、指定避難所等へ緊急移動しなければならない時に備え、「非常持ち出し袋」を、常備しておく必要があります。非常持ち出し袋には、以下のものを詰めておくとよいでしょう。

  • 貴重品(預金通帳、印鑑、現金、健康保険証、不動産登記簿謄本など)
  • ヘルメット、懐中電灯、マスク、軍手
  • 肌着、衣類、靴下、フェイスタオル、ハンドタオル
  • 歯磨き粉・歯ブラシ
  • 救急箱

災害に備えた備蓄のポイント

大規模自然災害発災に備え、家庭で行う最も重要な防災対策が飲食品と生活用品の備蓄と言えます。この備蓄は従来「3日分」と言われていました。

ところが近年の大規模自然災害の激甚化に伴い、以下の状況が確認されています。

  • 山間部では土砂崩れによる道路寸断、流木・流岩の激突による橋脚破壊
  • 都市部では電柱倒壊、上下水道・ガス管の破裂、全壊・半壊建物の残骸・瓦礫

この流れを受け、都市部ではエネルギー・水供給網と生活インフラの緊急復旧開始期間が従来に比べ長期化する傾向にあります。

このため現在は、市町村の指定避難所では「7―10日分の防災備蓄」が必要と言われています。これは自宅避難でも同じです。備蓄品としては、水や食料品、生活用品が必要となります。

成人一人当たり1日に必要な水は平均4ℓと言われています。このうち水分補給と炊事に必要な水は2ℓ、生活に必要な水は2ℓと言われています。このため家庭で必要な水は「1日4ℓ×籠城人数×7―10日分」の計算になります。水分補給と炊事用の水はペットボトル入りのミネラルウォーター、生活に必要な水は給水タンクに貯水した水道水(※)に分けると使いやく、使い分け違いも減ると言われています。

※水道水ː備蓄用の給水タンクの水道水は、5日を目安に定期的な貯水替えが必要

食料品

無洗米・パック米飯・レトルト粥等の主食、缶詰、レトルト食品、フリーズドライ調味料、ドライフルーツ、乾物、乾麺、日持ちする野菜(芋類、玉葱、梅干し、干し椎茸、漬物など)、などが備蓄食品の定番と言えます。

清涼飲料水

単調になりがちな避難生活の気分を転換し、ストレスを和らげるためにも清涼飲料水の備蓄も必要です。

ビタミン・ミネラル類

自宅避難では冷蔵庫を使えないので、生鮮三品(精肉・鮮魚・生野菜)を食材にできません。このためビタミンやミネラルの不足で、体調を崩しやすくなります。そこで果物ジュース、粉末ジュース、粉末青汁などを備蓄しておけば、ある程度ビタミン・ミネラル不足を補えるでしょう。

カセットコンロとガスボンベ

発災から緊急復旧までの間は電気とガスの供給が停止するので、自宅避難中の炊事はカセットコンロを使うことになります。その燃料のカセットコンロ用ガスボンベ(内容量250g)は、強火の連続燃焼で約70分間使用できます。4人が自宅避難している場合は、カセットコンロを朝夕の炊事に各20分、夕方の炊事に30分使用すると仮定すると、ガスボンベを1日1本消費する計算になります。そこで余裕を見て、10本+αで12本セットのガスボンベを備蓄すれば安心と言えるでしょう。

キッチン用品

次のキッチン用品を備蓄しておくと、避難中の貴重な水を節水できます。

  • 食品用ポリ袋……鍋やボールに被せて食材掻き混ぜや調味料の味付けに使うと、鍋やボールの水洗いを省略できる
  • アルミホイル……皿に被せて熱い食べ物を載せれば、皿の水洗いを省略できる
  • フライパン用アルミホイル……フライパンに被せて食肉・同加工品、魚類、卵などを焼けば食用油が不要になり、水洗いも省略できる
  • キッチンペーパー……食卓を拭く際や食器の汚れを拭く際の布巾代わりになる

ポータブル電源

持運びできるバッテリー「ポータブル電源」を備蓄しておくと、避難中の便利な電源になります。ポートが複数あるので照明器具、テレビ・ラジオ、パソコンなど複数の電気製品に同時給電できます。

アルミ蒸着保温シート

壁や天井に断熱材を貼った住宅でも、冬季はやはり室内が冷えます。そこで備蓄しておくと便利なのがアルミ蒸着保温シートです。軽くて保温性に優れているので、身にまとえば寒さを感じずに宅内行動ができます。

簡易トイレ

発災から緊急復旧までの間は水道も断水するので、宅内の水洗トイレは使用できません。このため簡易トイレを備蓄する必要があります。また簡易トイレを使用する際は、ビニール袋と凝固剤、排泄物の悪臭を除去するための防臭袋、防臭袋をまとめて保管するためのゴミ用ポリ袋などが必要なので、これも備蓄する必要があります。

手指消毒剤と便器消毒スプレー

雑菌・黴菌繁殖を防止するため食事前には手指消毒剤、トイレ使用後は便器消毒スプレーが必要になります。備蓄を忘れてはならない生活用品の1つと言えるでしょう。

ウェットタオル

ウェットティシュよりも大きくて厚みがあるペーパータオルです。避難中は入浴ができないので、これで顔や体を拭けば、体をある程度清潔に保てます。

ドライシャンプー

籠城生活中は水の要らないドライシャンプーも重宝します。頭髪をマッサージしてから頭髪と頭皮の汚れ拭き取るタイプと、最初からシートで頭髪をマッサージして頭髪と頭皮の汚れを拭き取るタイプがあります。

まとめ

大規模自然災害発災時の避難先はこれまで、市町村の指定避難所とされてきました。ところが近年は、自宅から避難所へ移動する最中に罹災するケースも増えており、自宅避難の方が無難との考え方も強まっています。

しかしたとえ全壊しなくても、半壊や一部損壊した建物内で避難生活を送るのは大変危険です。これを避けるため、「防災シェルター」を導入する家庭が増加中と言われています。

これについては今のところ公式統計がないので実態は不明です。とは言え日本でも「家庭用防災シェルター市場」が形成されつつあることは確かです。家庭での防災対策を見直す際は、シェルター導入も検討し、その情報収集をすると良いでしょう。

無料見積り・ご相談はこちらCONTACT