これから起こりうる核の脅威や自然災害から守る為に

コラム

核シェルターでの生活は何日間?必要な備蓄品は?

家庭用核シェルターは、言うまでもなく設置すればそれで「一件落着」と言うものではありません。本命は避難生活に必要な品物の準備・備蓄・管理と、いざと言う時に快適な避難生活を送るための備蓄品の上手な使い方にあります。そのためには一般的な備蓄品以外にどんな品物を備蓄し、それをどのように使えば良いのでしょうか。

核シェルターでの籠城生活は「最低2週間」

核弾頭ミサイル攻撃を受けた地域は、核シェルターに「最低2週間籠城」と言われます。その根拠は2つです。

根拠1つ目は、ガンマ線の減衰期間です。核弾頭ミサイルの炸裂により、原子核から飛び出して爆心地の周囲に飛散する猛毒の放射線「ガンマ線」は、7時間ごとに10%ずつ減衰するとされています。具体的には、以下とされています。

  • 7時間後…………………10分の1
  • 49時間後(2日後)………100分の1
  • 343時間後(2週間後)……1000分の1

したがって核シェルターに2週間籠城すればガンマ線は0.001%に減衰し、ガンマ線被曝の危険性がほぼ消滅すると見られています。

根拠のもう1つは、残留放射性物質の半減期です。核爆発により放出されて大気中に漂い、放射線二次被曝の原因となる残留放射性物質の大半は7―10日で半減期となり、壊変(原子核が放射線を放出して危険性の低い別の原子核に変わる現象)すると言われています。

とは言え、核シェルターの籠城生活は「2週間で終了」と言うものではなく、その後から国や自治体が開始する被害地域の生活インフラ緊急復旧活動の進捗状況により、1―-2カ月の籠城継続を余儀なくされる可能性があります。

このため家庭用核シェルターを設置した後は、余裕を見て1―2カ月の生活に必要な水・食料、生活用品を備蓄しておくことをおすすめします。

核弾頭攻撃を受けた時の被害はどこまで?

核弾頭ミサイル攻撃を受け、それが都心部で炸裂した場合、その直接的な被害はどの範囲にまで及ぶのでしょうか。

外務省が2016年3月に『核兵器使用の多方面における影響に関する調査研究』を発表しています。それによると、人口100万人と想定した「現代都市における核爆発の被害」として、次のシミュレーション結果を示しています。ここでは同結果のうち、16ktの原子爆弾が炸裂した場合の数値を紹介します。

原子爆弾炸裂により直接的な被害を受ける範囲

  •  熱線と放射線……爆心地から半径2.8km
  •  爆風………………爆心地から半径4.5km
  •  即死者数…………6万6000人
  •  即傷害者数………20万5000人
  •  放射線被爆者数…15万5000人

このように核弾頭ミサイル攻撃を受けた際の被害は甚大であり、攻撃を受けた都市は大規模自然災害でもあり得ない被害に晒されるのは疑いのないところと言えます。またこの結果は「もし」の場合に備えた核シェルター設置の重要性も示していると言えます。

なお先の「最低2週間」という目安は、このようなシミュレーションをふまえたものとなっています。

核シェルターに必要な備蓄品

家庭用核シェルターにおいては「もし」の場合に備え、一般的な備蓄品に加え次の品物を準備・備蓄しておけば、かなり快適な「シェルター籠城生活」が可能になります。

飲食物と炊事用品

ミネラルウォーター

成人一人が1日に消費する水は平均4ℓと言われています。このうち水分補給に必要な水と料理に必要な水は1.5ℓ、生活に必要な水は2.5ℓと言われています。したがって家庭用核シェルターには「1日4ℓ×籠城人数×籠城日数分」の水備蓄が必要になります。このうち、水分補給+料理で消費する水はミネラルウォーターで賄い、それ以外の生活水は給水タンクの水で賄うのが水の上手な使い方と言えるでしょう。

清涼飲料水

単調になりがちな核シェルター籠城生活に変化をつけ、ストレスを和らげるためにも清涼飲料水の備蓄も必要です。清涼飲料水があれば、家族みんなで憩う「午後のコーヒー・紅茶」、「夜のハイボール・チューハイ」を楽しむ炭酸水などして利用できます。

無洗米

籠城生活中の食料と言えばフリーズドライ食品、レトルト食品、缶詰、真空包装の食肉加工品・野菜・漬物などが定番になります。しかしこうした単調な食生活に変化を付けるために、炊き立ての米飯を食卓に載せることも重要です。この時に重宝するのが無洗米です。水で米を研ぐ必要がないので貴重な水を使わなくて済みます。また風味も通常の精米とほとんど変わらないので、「お茶漬けサラサラ、お新香ポーリポリ」の食事を楽しむことができます。

カセットコンロとガスボンベ

家庭用核シェルターの炊事では、基本的にカセットコンロを使用します。このカセットコンロ用ガスボンベ(内容量250g)は、強火の連続燃焼で約70分間使用できます。4人分の夕食の炊事時間を30分と仮定すると、2週間で420分なので6本備蓄しておけば足りる計算になります。カセットコンロは朝・昼の炊事でも使うことが多いので、12本セットのガスボンベなら3週間は優に持つので重宝と言えます。

生活用品

LEDランタン

家庭用核シェルターのリビングルームやトイレット・シャワーブースの照明による電気消費を抑制する用品として、LEDランタンを備蓄しておけば重宝します。例えば単3アルカリ電池3本使用のLEDランタンの場合、以下の照度が期待できます。

  • 薄暗いながらも6畳の部屋全体を照らせる
  • ランタンから1m以内なら読書ができる

アルミ蒸着保温シート

天井・壁に断熱材を嵌め込んだ家庭用核シェルターでも、冬季はシェルター内が冷えます。そこで重宝するのがアルミ蒸着保温シートです。軽い上に保温力が優れているので、身にまとえば寒さを感じずに就寝時以外のシェルター内行動ができます。

衛生用品

ジェルタイプの手指消毒剤

ジェルタイプの手指消毒剤は指の間や爪の先まで塗りやすいので、ぜひ備蓄しておきたい用品の1つと言えます。

ウェットティッシュ

シェルター内の衛生を保つ小道具として重宝します。例えば、以下の使い方ができます。

  • シェルターの床や壁、設備にちょっとした汚れが付いた時にすぐ拭き取る
  • 食事前の食卓、食事後の箸・スプーン・フォーク・食器を拭き取る

ウェットタオル

ウェットティシュよりも大きくて厚みがある用品です。特にシャワー設備がない核シェルターでは顔や体を拭くのに重宝します。

ドライシャンプー

頭髪を洗うシャワー設備がない核シェルターでは、水の要らないドライシャンプーも重宝します。頭髪をマッサージしてから頭髪と頭皮の汚れ拭き取るタイプと、最初からシートで頭髪をマッサージして頭髪と頭皮の汚れを拭き取るタイプがあります。

衣類用抗菌消臭スプレー

シェルターでは汚れた衣類を選択できないので、衣類用抗菌消臭スプレーが重宝します。スプレーで汚れと臭いを除去した後は、ドライヤーなどで乾かすと洗濯に近い状態を保てます。

密閉式ゴミ箱

シェルター籠城中は、どうしても残飯を始めとする色々な生ゴミが発生します。生ごみは悪臭をシェルター内に籠らせる原因になるので、密閉式ゴミ箱に捨てる必要があります。しかしただ捨てるだけではなく、その時に凝固剤と消臭剤を混ぜれば生ごみの容量を減らせ、悪臭発生を防止でき、ゴミ箱1台の使用期間も長引かせることができます。

排泄物処理用品

便器消毒用スプレー

トイレットブースで用を足した後の便器消毒、ブースの床・壁の雑菌繁殖防止消毒に重宝します。

防臭袋

家庭用核シェルターに装備する便器は、便器内のポリ袋で排泄物を固化する仕組みになっています。それでも排泄物特有の悪臭は残ります。この悪臭除去で重宝するのが防臭袋です。固化した排泄物の袋を便器から取り出し、消臭剤を加えて防臭袋で包み、専用のポリ袋に詰めておけば、それほどのスペースを取らずに籠城中の保管ができます。

ローリングストックとは?

シェルターに備蓄する飲食品において、よく問題になるのが「賞味期限切れの飲食品備蓄」です。この問題は「ローリングストック」で容易に解決できます。

ローリングストックとは、賞味期限が近付いた備蓄飲食品は、日常の食事で優先的に消費し、シェルターから持ち出した分の飲食品をシェルターの備蓄に補充する方法です。これなら「もし」でシェルターの籠城生活に入っても、常に鮮度の高い飲食品を食卓に載せることができます。また「食品ロス」も防止できます。

ローリングストックを行うためには備蓄飲食品のチェックリスト作成と定期的チェックが必要です。このチェックはまた、シェルター内の設備や備蓄状況を点検する機会になり、シェルターが「入らずの部屋」になる防止策にもなります。

まとめ

家庭用核シェルターで家族揃って食べる3度の食事は、籠城中の貴重な憩いの時間になります。したがって飲食品は風味が落ちない賞味期限内のものが重要になります。ローリングストックも活用し、よりよい状況を心掛ける必要があります。

家庭用核シェルターは蔵のような物置ではありません。「もし」の場合の生活の場です。シェルター設置においては、この考え方を忘れてはなりません。

無料見積り・ご相談はこちらCONTACT